「家」を基盤とする「タテ」の社会構造第三章一、「タテ」の社会構造l 1.戦後の日本社会の前 近代的なもの:日本経済 の高度成長を促進した l 2.中根千枝の日本社会 分析:分析の鍵、「場」 と「資格」、帰属意識の 強い日本人がその「場」 で「タテ」に人間が関係 し合い、そこに「タテ」 集団が成立する中根の観点l個人主義、契約精神の欧米と、「場」を 強調し、「ウチ」と「ソト」を強く意識 する日本 l単一的で、明確な上下関係によって、底 辺のない∧型の「タテ」の構造関係 l上級者に忠誠を尽くし、集団の利益に忠 誠を尽く、集団成員の向心力を形成する 鍵3、「資格」と「場」の両要素:l 「資格」:生まれながらの氏 と身分、生後個人が獲得した 学歴、地位、職業経済学的観点からの資本家、 労働者、地主、小作人社会的、生物的に男女、老若 など種々の「資格」 l 「場」:一定の地域と所属機関 、一定の個人が集団を構成し ている場合国、県、市、町、村の成員、 会社、企業、大学の成員日本人の集団意識は「場」にお かれ、インドでは「資格」にお かれ、中国や欧米は中間l 4.日本人は職種よ りも組織を強調する 、○○会社、○○大学 、「場」が、社会的に 重要な役割を持って 、個人の持つ「資格 」は第二の問題 l このように「場」を強 調する日本の社会が 、「資格」の異なるも のを包括する社会に なり、その構成員を 結びつける理論とし ては、「タテ」の関係 が大きく作用するよ うになる。
l 5.人間の社会の構 造は、「タテ」と「 ヨコ」二つの関係で 考えられる l 例えば、親-子、兄 弟姉妹、先生と学生 、同窓及び同僚は「 ヨコ」 l 中世のヨーロッパ「 ヨコ」の社会、イン ドのカースト、中国 の士農工商「タテ」 「ヨコ」l 日本において親子、 上司と部下、先輩と 後輩は同列に置かれ ない「タテ」の関係 l 兄弟、同僚のような 同列に立っている「 ヨコ」の関係も、序 列によって「タテ」 の関係同じ実力と資 格を有する、年齢、 入社年次、勤続期間 の長短などによって 差が生じる6.日本の「タテ」の社会構造は次のような二つの特徴を示しているl (1)上下関係は身分等級制度や序列秩序の上 に成り立っている社会集団と社会の中での等 級が厳しく、階段式の序列の等級があって、各 等級にまた厳しい序列がある序列を決定する 基準は、年齢、社会的地位、集団における経験年 数、性別などである l 江戸の「大名」:「親藩」「譜代」「外様」 l 家来:年齢、仕える期間序列l日本人の日常生活の中にも上下の序列意 識が存在している日本では、人が集ま ると、序列が意識され、自分の属してい る序列の位置に従って行動する。
l現在の日本社会序列意識が強い、安定性 と密度の高い企業ほど序列関係が強固、 個人の力の発揮を強調する作家や俳優、 芸能人の世界においても、序列意識が強 く存在しているl 言葉-敬語の程度 l 席順、「上座」「下座」、 l 社会では等級序列によって並べられているが、 「家」制度の下では、上下の関係は家族の中で の親分―子分という関係に現われていたから、 欧州やインドのような等級分離や等級封鎖の状 態にはならなかった「タテ」の等級制度は職 業の区別や階級の区別を無くしたl (2)日本の「タテ」の 社会組織と社会構造は「 単一性」を持っている 中根氏によると「タテ」 の構造では、各集団(人 或は系統)は、普通、上 下両極と関係を発生し、 同じ等級にあるほかの系 統とはあまり関係を発生 しない特色:①第一に 、成員はaを頂点としての み全員がつながっている ②第二の特色としては 、このような集団は底辺 のない三角関係であるこ とであるl パーソナルな、直接 的関係-感情的、情 緒的、接触的な「タ テ」の社会:西洋の 理性的普遍的なルー ルの設定が無い l 相対的な価値観:人 と人との関係を何よ りも優先させる。
日 本人の党派性、派閥 争い、非社交性、「 ヨソ」の競争、契約 精神の欠如、社会的 強制、論理より感情 l このような組織は、 ヒエラルキーを生み 、古顔が力を持ち、 新成員は常に下位に 立たされる「タテ 」型の集団において は、感情的、情緒的 関係が生まれる中 根氏は「この組織の 長所は、リーダーか ら末端成員までの伝 達が、非常に迅速に 行われる、「ヨコ」の 連絡.調整が難しいl 企業や官公庁の職場:同 じ年次に入った人達が同 じ階層を構成し、給料と 地位でほぼ同じ取り扱い を受ける情緒的な一体 感が生まれる「就職」 の意識より、どの会社に 入るかという「就社」の 意識が強い日本では、 雇用されるときに職種が 決まっていない場合が多 い採用後に会社が決め るのである一人がいく つもの職種を経験するこ とも珍しくない「何を するか」が重要なのでは なく、「どこの会社の人 か」が大切なのである自然村的秩序(神島次郎ー『近代日本の精神構造』)l 神道主義(祭祀によって、村人の絆を強める) l 長老主義(企業:年功序列、学校:先輩後輩、何 期生) l 家族主義(家庭以外の所では:家父長制度のコピ ー) l 身分主義(資格によって、特権と順序意識を育て る) l 自給自足主義(封鎖的な集団、排外主義)自然村的秩序l このような自然村的秩序が、〈第二のムラビト〉 によって社会に持ちこまれるとき、それは、かつて 藩校・塾・組に見られたようなそれぞれの特徴を 文武官僚・企業・組合の組織のなかにそれぞれ 対応して定着させ、同時にまた、これが支配層・ 中間層・被支配層の性格をも規定する要素をなし た。
l 彼らは農村という経済的基盤を失ったため不安 定な立場に置かれており、その秩序意識は精神 主義的な方向に抽象化されており、それが日本 的ファシズムの温床になった二、日本の「家」制度l 日本特有の「家」制度は 「親分」-「子分」の形 式で職業と階級の区別を 無くした l 「親分」-父母、領主、 上司、支配、面倒 l 「子分」-子供、家臣、 部下、尽くす義務l 生活共同体で、経営 体 l 情的に結びつき、感 情的なアプローチを 取る l グループ内部の人間 同士の接触が頻繁、 公私の区分がつかな くなるl 経済生活を前提とした生活の共同 防衛組織、戦後の高度経済成長が さまざまな組織は変動したが、日本 人の思考方式は、社会構造との相関 関係において、人間関係を重視する という従来の傾向を脱することが なかった l 今日では、企業や各種の組織体が、 従来の「家」の機能を果たしてい るl 企業:終身雇用制、年功序 列制によって、封鎖な「家 」の集団社会を作っている 「企業丸抱え」、企業と は契約関係より婚約関係、 集団に一体感、同族意識、 「愛社精神」、「企業は 人なり」、「従業員は家族 の一員であり」、「縁あっ て結ばれた仲」、日本の社 会組織は、「家」の拡大図 である。
個人は「家族の一 員」として認識され、従業 員の家族は従業員とともに 一単位として認識されてい るそして、個人の行動や 考え方にまで集団の力が及 ぶl「家本位」の観念が、各種の 組織体にも現れている日本 には地方レベルのものから全 国的なものまで、いろいろな 組織体がある日本商工会議 所、経済団体連合会、医師会 、歯科医師会、農業協同組合 l「枠」によって、「内の者」と 「外の者」を区別仲間うち での交際が中心になるため、 社交性の欠如に繋がる日本 社会における人間関係の特色 は、強い地域性(ローカリズ ム)であり、直接接触性であ るl日本人の道徳や倫理規範 も、閉鎖的な人間共同体 の「家」の習俗によって 理念化され、形成されて いったものになる従っ て、自分の属するい「家 」や、集団、企業、国家 に対する道徳は発達して いるが、個人として守る べき道徳の観念は薄い四、日本の「家元」制度l 茶道、華道、香道、音曲 の伝統的な芸の世界では 、「家元」制度によって 技芸が伝授 l 「家元」は、その芸を創 始した流祖の嫡流、芸と 血統が正統に一切の権利 を持っている家、一人の 師匠に弟子が増えてもよ い構造、世襲に引き継が れ、血の正統に対する信 仰l 一人の頂点に対する献身 的な奉仕があり、神秘化 された技への賛仰、日本 の縮図 l 万を越す弟子家族の構成 員、一番大きな「模擬的 家族」、 l 「模擬的な家族」、酒場 の女主人のママ、任侠の 世界は「親分」と「子分 」、代議士の秘書は、自 分の主人を「親父」と呼 ぶ。
l 家元は非常に権力、免許 状が発行権利二、中日の「家」制度の比較l「外親」と「本宗」: l 中国東部沿海と黄河流域の龍山文化、斉家文化揚子江 流域の屈家嶺文化、青蓮崗文化 l 父権制が確立-氏族制-家族―宗族制に変わる夏(禹 より桀)に始まり、周に至って盛んl 春秋戦国時代の土地私有制、領 主―奴隷型経済システムから、 地主―小作農型の経済システム と転化し、分封制度が廃止され 、家族は宗族に代わる基本的な 社会群体となったl 特徴: l (1)中国の「家」は 、家、家族、宗族とい う三つの部分 l 家:同居して、共同生 活、二、三世代、経済 単位、「家長」 l 家族:家の総合体、同 じ先祖の男系後代、四 世代、血縁単位、族長 l 宗族:同じ姓の同族組 織で、「宗子」、l (2)中国の「家」制 度は、父権を中心とし 、血縁関係を重視、そ の尊卑、長幼、上下、 親疎が決定、同族、同 姓、同血縁の跡継ぎが 無いと忌まれるl (3)宗法組織が、地方の 基本政権と社会組織、県以 下の権力行使は、宗法制で 管理支配「族規」、「族法」 、「族産」管理し、仲裁、「 家族」と宗法組織の結合は 、伝統社会の「自給自足」 、封鎖された「半分自治」 形成 l (4)中国における「家」の財産相続制度は、男子 平均相続制。
土地貴族 の強大化を防ぎ、科挙を奨 励した日本の特徴 :l (1)日本の「家」制度は 、濃厚な母権制の色彩を 帯びていた l 婚姻制度と相続制度:4世 紀まで、「妻問婚」、4 世紀以後、父権制が生ま れ、7世紀中期父権制が発 展、妻問婚が依然、13世 紀初期、嫁入婚が流行、 民間普及は14世紀以後、 残余依然、相続制度は男 子女子平均制、女子の相 続権が認め 妻問婚(一夫多妻制の男系社会で、財産は女子が 相続し、社会的な地位は男子が相続する形態 )l 交際の作法として、まず、男性は女性に和歌を添えた手紙 を送り、女性が男性を気に入れば返事の和歌を添えた手紙 を出す手紙を何度も往復させた後、夜間に娘の家に赴き、 娘の住む離れの前で入室の許可を求めるが、これも日に日 に娘の部屋に近づきながら何度も同じやり取りを繰り返すの が普通であった娘と本格的に交際が始まってから、男性が 女性の親に結婚の許しをもらい、婚礼の宴会と三夜の来訪 を以って婚姻を成立とするl ある程度の経済力を持つ家には離れに娘の部屋 が有り、夫は夜、その部屋に通う大化改新前ま で)婿入り婚(平安時代)l婿入り婚とは,男性が女性の家に通う形式l武士は「嫁入り」という婚姻の形式をとってい た(多妻制)。
明治のはじめまでは、一般庶民 は「婿入り婚」が多かったl明治時代、「婚姻法」が制定され、一夫一婦 制が導入されるようになったl (2)母権制の影響で、日本の父権制の出現が遅れ、同 族同姓の父系血縁観念の重要性が薄くなり、日本は、中 国ほど血縁関係の観念が強くない「家」は、父系の血 縁、社会関係、階層関係、業界関係、地縁関係とも関わ る血縁関係の無い弟子、家臣、家来「他人」を「養子 」、模擬血縁関係によって「家業」を受け継がせる「 血縁団体」より社会の「組合」「経営団体」、「組織」 、「企業体」、非家族成員をも含め。