科学技術基本法科学技術基本法平成7年11月15日法律第130号目次第一章 総則(第一条―第八条)第二章 科学技術基本計画(第九条)第三章 研究開発の推進等(第十条―第十七条)第四章 国際的な交流等の推進(第十八条)第五章 科学技術に関する学習の振興等(第十九条)附則 第一章 総則(目的)第一条 この法律は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く以下同じ )の振興に関する施策の基本となる事項を定め、科学技術の振興に関 する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、我が国における 科学技術の水準の向上を図り、もって我が国の経済社会の発展と国民 の福祉の向上に寄与するとともに世界の科学技術の進歩と人類社会の 持続的な発展に貢献することを目的とする科学技術の振興に関する方針) 第二条 科学技術の振興は、科学技術が我が国及び人類社会の将来の発展のた めの基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資 産であることにかんがみ、研究者及び技術者(以下「研究者等」とい うの創造性が十分に発揮されることを旨として、人間の生活、社 会及び自然との調和を図りつつ、積極的に行われなければならない。
2 科学技術の振興に当たっては、広範な分野における均衡のとれた 研究開発能力の涵(かん)養、基礎研究、応用研究及び開発研究の調 和のとれた発展並びに国の試験研究機関、大学(大学院を含む以下同じ)、民間等の有機的な連携について配慮されなければならず、 また、自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩 にとって重要であることにかんがみ、両者の調和のとれた発展につい て留意されなければならない国の責務)第三条 国は、科学技術の振興に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実 施する責務を有する (地方公共団体の責務)第四条 地方公共団体は、科学技術の振興に関し、国の施策に準じた施策及び その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及 びこれを実施する責務を有する国及び地方公共団体の施策の策定等に当たっての配慮)第五条 国及び地方公共団体は、科学技術の振興に関する施策を策定し、及び これを実施するに当たっては、基礎研究が新しい現象の発見及び解明 並びに独創的な新技術の創出等をもたらすものであること、その成果 の見通しを当初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に 必ずしも結び付くものではないこと等の性質を有するものであること にかんがみ、基礎研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役 割の重要性に配慮しなければならない。
大学等に係る施策における配慮)第六条 国及び地方公共団体は、科学技術の振興に関する施策で大学及び大学 共同利用機関(以下「大学等」という)に係るものを策定し、及びこ れを実施するに当たっては、大学等における研究活動の活性化を図る よう努めるとともに、研究者等の自主性の尊重その他の大学等におけ る研究の特性に配慮しなければならない法制上の措置等)第七条 政府は、科学技術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上、 財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない年次報告)第八条 政府は、毎年、国会に、政府が科学技術の振興に関して講じた施策に 関する報告書を提出しなければならない第二章 科学技術基本計画第九条政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、科学技術の振興に関する基本的な計画(以下「科学技術基本計画」というを策定しなければならない2 科学技術基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする一 研究開発(基礎研究、応用研究及び開発研究をいい、技術の開 発を含む以下同じの推進に関する総合的な方針二 研究施設及び研究設備 (以下「研究施設等」という。
の整備、 研究開発に係る情報化の促進その他の研究開発の推進のための 環境の整備に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策三 その他科学技術の振興に関し必要な事項3 政府は、科学技術基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、総合科学技術会議の議を経なければならない4 政府は、科学技術の進展の状況、政府が科学技術の振興に関して講じた施策の効果等を勘案して、適宜、科学技術基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならないこの場合においては、前項の規定を準用する5 政府は、第一項の規定により科学技術基本計画を策定し、又は前項の規定によりこれを変更したときは、その要旨を公表しなければならない6 政府は、科学技術基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない第三章 研究開発の推進等(多様な研究開発の均衡のとれた推進等)第十条 国は、広範な分野における多様な研究開発の均衡のとれた推進に必要 な施策を講ずるとともに、国として特に振興を図るべき重要な科学技 術の分野に関する研究開発の一層の推進を図るため、その企画、実施 等に必要な施策を講ずるものとする。
研究者等の確保等)第十一条 国は、科学技術の進展等に対応した研究開発を推進するため、大学 院における教育研究の充実その他の研究者等の確保、養成及び資質 の向上に必要な施策を講ずるものとする2 国は、研究者等の職務がその重要性にふさわしい魅力あるもの となるよう、研究者等の適切な処遇の確保に必要な施策を講ずるも のとする3 国は、研究開発に係る支援のための人材が研究開発の円滑な推 進にとって不可欠であることにかんがみ、その確保、養成及び資質 の向上並びにその適切な処遇の確保を図るため、前二項に規定する 施策に準じて施策を講ずるものとする研究施設等の整備等)第十二条 国は、科学技術の進展等に対応した研究開発を推進するため、研究 開発機関(国の試験研究機関、大学等及び民間等における研究開発 に係る機関をいう以下同じの研究施設等の整備に必要な施策 を講ずるものとする2 国は、研究開発の効果的な推進を図るため、研究材料の円滑な 供給等研究開発に係る支援機能の充実に必要な施策を講ずるものと する研究開発に係る情報化の促進)第十三条 国は、研究開発の効率的な推進を図るため、科学技術に関する情報 処理の高度化、科学技術に関するデータベースの充実、研究開発機 関等の間の情報ネットワークの構築等研究開発に係る情報化の促進 に必要な施策を講ずるものとする。
研究開発に係る交流の促進)第十四条 国は、研究開発機関又は研究者等相互の間の交流により研究者等の 多様な知識の融合等を図ることが新たな研究開発の進展をもたらす 源泉となるものであり、また、その交流が研究開発の効率的な推進 にとって不可欠なものであることにかんがみ、研究者等の交流、研 究開発機関による共同研究開発、研究開発機関の研究施設等の共同 利用等研究開発に係る交流の促進に必要な施策を講ずるものとする研究開発に係る資金の効果的使用)第十五条 国は、研究開発の円滑な推進を図るため、研究開発の展開に応じて 研究開発に係る資金を効果的に使用できるようにする等その活用に 必要な施策を講ずるものとする研究開発の成果の公開等)第十六条 国は、研究開発の成果の活用を図るため、研究開発の成果の公開、 研究開発に関する情報の提供等その普及に必要な施策及びその適切 な実用化の促進等に必要な施策を講ずるものとする民間の努力の助長)第十七条 国は、我が国の科学技術活動において民間が果たす役割の重要性に かんがみ、民間の自主的な努力を助長することによりその研究開発 を促進するよう、必要な施策を講ずるものとする。
第四章 国際的な交流等の推進第十八条国は、国際的な科学技術活動を強力に展開することにより、我が国 の国際社会における役割を積極的に果たすとともに、我が国におけ る科学技術の一層の進展に資するため、研究者等の国際的交流、国 際的な共同研究開発、科学技術に関する情報の国際的流通等科学技 術に関する国際的な交流等の推進に必要な施策を講ずるものとする第五章 科学技術に関する学習の振興等第十九条国は、青少年をはじめ広く国民があらゆる機会を通じて科学技術に 対する理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教 育における科学技術に関する学習の振興並びに科学技術に関する啓 発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする附 則この法律は、公布の日から施行する。