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日本における文化遺産の 保護と観光的利用のジレンマ 有森 美咲 目次

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日本における文化遺産の 保護と観光的利用のジレンマ 有森 美咲 目次_第1页
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日本における文化遺産の保護と観光的利用のジレンマ有森 美咲目次第1章  1-1 はじめに1-2 比較対象の設定第2章  文化遺産政策2-1 日本の文化遺産政策2-2 諸外国の文化遺産政策第3章   古都京都の文化財(京都市)3―1 古都京都の概要と全体的な政策3-2 二条城3-3 今後の課題と目標第5章  まとめ今後の日本の文化遺産政策への提案第6章  参考文献第1章1-1 はじめに公共政策といえば、社会、環境、エネルギーなど様々な分野が存在する卒業論文を作成するにあたって、私は 2 年後期から取り組んできた景観政策において取り扱った文化遺産の保護と活用について興味を抱いたここで文化遺産の保護について詳しく説明する文化財の「保護」とは、文化遺産の保存と文化財の活用の2点を機能面から捉えたものであるつまり、保護の内容には「保存」と「活用」の両面が含まれているのである保護と保存の意味は以下のとおりである・「保護(protection) 」…文化財を危険・破壊等の外界の影響から守ること・「保存(preservation) 」… 文化財の持つ価値の維持をすることまた、文化遺産の活用については先に述べた観光的利用を含む4点に主に分類することができる。

1、イベント的利用 (例)美術品の展示、コンサート、祭り2、観光的利用 (例)修学旅行、海外向けの観光、ツアー形式の旅行3、学習的利用 (例)課外授業、教員の歴史教育、研究対象4、その他利用 (例)会議室、憩いの場活用については、先に述べた文化財保護法第一条にあるように、文化遺産保護の目的をそれらの「保存と活用をはかる」ためであるとしている活用の手段として最も一般的なものは観光的利用だと考える仮に文化遺産の元来の存在意義をそれらの保全と、価値の共有であるとするしかし近年は「観光」が有名文化財と密接な関係を持つようになっている例えば、世界遺産として登録されることで、世界的な価値が高くなった文化財とそれらの所在地は観光地としての性格を強めていくそしてそれに伴って、観光客の急増や環境破壊など様々な問題を抱えていくケースが多い今、各地の世界遺産が遺産の保護と観光利用のバランスに悩まされているといえる観光資源としての文化財の価値は大きく、長期的に注目されるものであると考える歴史的建造物や町並み,文化的景観等の保存及び有効活用の取組は,文化遺産が地域づくりやまちづくりの核となり,かつ文化観光の有力な資源となって外国人を魅了する「日本ブランド」として「観光立国」の実現に役立つためにも,我が国の文化を国際的に発信する観点からも重視されなければならない。

より深い分析のために、今回は2点目の観光的利用に焦点を置くこととする1-2比較対象の設定今回は、欧州の文化遺産の保護と活用を比較対象とするその理由は、欧州が文化遺産の保護において、また経済事情においても日本に対して先進国であったことが大きな理由である現在は、経済事情においては同程度であるが、世界遺産の登録数は圧倒的に日本に勝っており、莫大な数の文化遺産の保護方法に注目できると考えた歴史的遺産あるいは環境を公共の財産として国が保護しようとする制度は、欧州で始まった19 世紀には欧州の主要各国が、現在世界に普及している文化財保護制度といえる文化財に関する体制あるいは法律を整えるようになる欧州諸国、特にドイツ、イギリス、フランス、イタリアは欧州の主要国として文化財保存のための制度を早くから導入して発達させてきた国であり、日本にも大きな影響を与えてきた文化財保護制度の歴史及び現在を考える上で、いずれも欠かせない重要な国であるこれらの国の文化財保護制度についてはこれまでも多くの日本人研究者により、専門分野ごとで何らかの調査が行われ、紹介されてきたこの間に、社会システムの進展にともなって文化遺産の概念も拡大し、またその範囲が拡大していく文化遺産を保護していくための施策も各国でさまざまに工夫されてきた。

20 世紀初めには自然保護の動きに連動した天然記念物や優れた景観の保護制度の導入がなされた他にも戦後復興による特に都市の歴史的景観の破壊に対抗して都市政策に連動した歴史地区の保存制度の導入、また、都市域の大量の歴史的建造物の保存のための施策の拡充などは欧州各国に共通してみられた動きである特に日本に比べて一桁も二桁も異なる圧倒的多数の歴史的建造物や美術コレクションの保存、そのための体制を誇るこれら欧州先進国の文化財保護制度は、常に日本の文化財保護制度の模範となってきたといえるしかし、私はそうした欧州先進国における文化財保護をめぐる状況は、現在も変らないのかという点に疑問を抱いたここで先進国の経済事情を見てみると昔ほどの成長率はないこれは日本も欧州と同様であるこの点から文化財をめぐる状況に多少の変化があるのではないかと考えた文化財を活用した地域おこし事業の普及は、文化財にとっては追い風である今回は取り上げることはないが、産業遺産についても保存と農業景観の保存への視点は地域おこし事業と連動していることが多いしかし、もともと保護の対象としている文化財の数が少ない日本においては追い風であるかもしれない昨今の経済事情も、欧州において果たして同様といえるのか。

保護にかかる費用の節約あるいは効率的配分のための保護対象の差別化は進んでいないか 地域活性化のための各種施策と地方分権化施策も連動している国の権力による組織的な保存を進めてきた欧州各国が、地方分権を進め、保存修理事業の自由化や民間団体等の導入をはかればこれまで日本がお手本としてきた中央集権的で、それであるからこそ強力であった保護制度の基礎に影響を及ぼすのではないだろうか特に EU という国を越えた大きな組織ができ、その規模が拡大している点は重要である文化財の売買や、文化財に関わる経済活動の域内自由化に限らず、欧州連合が進める各種施策は文化財・景観保護分野にも及び、加盟国の文化財保護施策にも大きな影響を与えつつある記念碑的建造物や美術品コレクションの保存に始まり、町並み、景観へと施策を拡充させてきた欧州の文化財保護制度は、21 世紀現在、どの位置にあり、そしてどの方向に進もうとしているのかその点からも地域活性化や地方分権化問題など、同様の政策課題をかかえる日本にとって、参考になる事項は多い今回私は、文化財保護制度の歴史にとって一つのターニング・ポイントが訪れていると考えられる現在において、これまで日本がお手本としてきた欧州と自国の文化財保護制度の現状を比較し、わが国の文化財保護施策の今後を考えることを目的としている。

第2章 文化遺産政策2-1、日本の文化遺産保護政策国全体としては、戦前・戦中の芸術文化活動への抑制を経て、明治期に始まった日本における文化遺産の保護であるが、その後 1950 年に制定された「文化財保護法」が現在の政策の大元となっている1968 年には「文化庁」され、国としての支援が拡大することで、形としての文化政策ができてきたしかし 1980 年代は財政再建に伴い補助金抑制等が行われ、芸術文化方面に重大な危機をもたらしたここでようやく文化庁が文化政策における公的支援と民間支援(メセナ)の必要性を発言するようになったこれは文化遺産の社会・経済における影響力の表れである文化財の修復保存に関しては,明治以来、民間だよりであった国の機関で修復技術者を抱えて文化財の修復をしたことがないのであるそのため、欧米に比べると科学的な技術保証について若干おくれをとる傾向があったそれを支えてきたのが文化財研究所や大学であり、民間に頼る形は未だ続いているもちろん、ただ民間に依存するというだけではなくて、その組織化という点では若干の進歩が見られる例えば建造物関係では、建造物保存技術協会というような財団法人化された組織がある。

これは今回の対象である建造物という大きな事業量を持っている団体であればこそできたことであるそのため、美術工芸品のような細かいものに関しては一つ一つ個人単位の仕事が今でも進められているここで挙げられる問題点は、日本には修復技術者を基礎から教育する学校教育の制度が今もないことである依然として工房(つまり民間)に頼っているのが現状なのだ今までも、文化庁の行政的な主導による比較的安全な文化財の修復がなされてきたとは言える文化庁は、文化財保護法に則ってさまざまな行政活動を行い、修理に関しても助成金を出すなど、援助する制度は早くから行っているまた一つ、大きく問題であるのは、文化財は国指定のものだけではないということだ国指定のものに関しては、国が選択した修理技術者は、これに関わっていくのに比較的安全であるしかし、それ以外の者については文化庁の行政指導がほとんど及ぶところがないその人たちの技術的な程度を確かめる術がない文化財の修理には,公的な資格制度はないため、あくまで私的に資格をつくり、訓練をしているのが実情である近年日本はアジアにおいて文化財保存技術、あるいは科学的な保存科学に関しては先進的立場を保ってきた。

これはヨーロッパ発祥の学問であるが、日本はいち早く取り入れ、昭和 25 年に文化財保護法ができ国立文化財研究所ができたときに,保存科学も研究をする機関としての性格を持たせたその結果、その技術が中国や韓国に伝わり、現在の中国・韓国の保存技術の進歩につながっている日本の国際的な文化財活動というのは、政府の主導のものと民間主導のものが別々にあったこの 2 つが最初に一つの形をとったのが在外日本美術保存修復協力事業であるこれも平成2年に提唱され、文化庁と共同で始めたものであるこの事業を契機に美術研究振興財団が設立され、今は敦煌保存のためにつくられた芸術文化の保護財団と合体して、一つの財団になっている現在では主として国の資金が動いている仕事になっているこれが欧米で大変好評で、日本の技術の理解とその技術レベルの高さを認識させる大きな仕事になっているのだ2-2 諸外国の文化遺産政策歴史的遺産あるいは環境を公共の財産として国が保護しようとする制度は、欧州で始まった19 世紀には欧州の主要各国が、現在世界に普及している文化財保護制度といえる文化財に関する体制あるいは法律を整えるようになる欧州諸国、特にドイツ、イギリス、フランス、イタリアは欧州の主要国として文化財保存のための制度を早くから導入して発達させてきた国であり、日本にも大きな影響を与えてきた。

文化財保護制度の歴史及び現在を考える上で重要な国である社会システムの進展にともなって文化遺産の概念も拡大し、またその範囲が拡大していく文化遺産を保護していくための施策も各国でさまざまに工夫されてきた20 世紀初めには自然保護の動きに連動した天然記念物や優れた景観の保護制度の導入がなされた他にも戦後復興による特に都市の歴史的景観の破壊に対抗して都市政策に連動した歴史地区の保存制度の導入、また、都市域の大量の歴史的建造物の保存のための施策の拡充などは欧州各国に共通してみられた動きである特に日本に比べて一桁も二桁も異なる圧倒的多数の歴史的建造物や美術コレクションの保存、そのための体制を誇るこれら欧州先進国の文化財保護制度は、常に日本の文化財保護制度の模範となってきたといえる1966 年登録文化財制度導入の直前には、日本人専門家の間で、これら各国の文化財保護制度に関する研究会が繰り返し開かれた先進国の経済事情を見てみると昔ほどの成長率はないこれは日本も欧州と同様であるこの点から文化財をめぐる状況に多少の影響があるのではないかと考えた文化財を活用した地域おこし事業の普及は、文化財にとっては追い風である。

今回は取り上げることはないが、産業遺産についても保存と農業景観の保存への視点は地域おこ。

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